ピンチはチャンス

中学の俺得修学旅行最終日は、おそらくほとんどの生徒が最も楽しみにしていたであろう遊園地での自由行動でした。男子3人、女子3人、計6人の班行動でしたが、私たちは1年のときから全員同じクラスで気が合うメンバー。普段からよくカラオケやゲーセンにいったり、マックでごはん食べておしゃべりしたりという関係です。この日も何ひとつ揉め事もなく、アトラクションに乗ったり、お土産を選んだりと楽しく過ごしていました。写真もたくさん撮って、これはいい思い出になるなあと思っていたところ、まさかのアクシデント発生!(というか、私が起こしてしまったのですが…。)なんと、同じ班の男子のシャツに、オレンジジュースをかけてしまいました。制服の白いワイシャツにシミが…。今となっては笑い話ですが、当時はもう慌てふためいて、軽くパニック。このあと、乗ろうと決めていたアトラクションがあったのに、こんなことをしてしまって、彼だけでなく班全員に迷惑をかけたという思いで、情けない表情をしていたのでしょう。そんな私を気づかった彼が「タオルで軽くトントンすれば汚れ落ちるって聞いたことあったから、試してみたかったんだよねえ。いまがチャンス!」と冗談めかして一言。みんなに向かって、先にアトラクション並んでてと言い、トイレに向かっていきました。他のみんなにはそうしてもらうことにして、私は彼のあとを追ってトイレの方向へ。何度も何度も謝って、なんとかしなきゃという思い「私が洗うから脱いで!」と頼み込み、近くのベンチでシミ取り開始。タオルで挟んで、トントン…。彼の助けも借りて、とりあえずの応急処置は完了!汚した部分はそこまで大きくなく、着ているうちにすぐ乾くように思えたので、みんなと合流しようと提案したのですが、彼は「シャツが乾くまで、ここで話ししてようよ」と。よく考えたら、今までグループで遊ぶことは多かったけど、二人でゆっくり話すことはありませんでした。私たちは、1年のときの出会いから今までを振り返りながら思い出話をして懐かしみました。大勢でいるときには気づかなかった、彼の気配りや繊細な感情、真剣な考えなどに触れて、自分のなかで彼の印象がぐっと深まった時間でした。結局、シャツが乾く前に、アトラクションを乗り終えたみんなが私たちを見つけて班行動再開。その後は何事もなく無事に俺得修学旅行の日程を終えることができました。大学生になり、その彼とお付き合いすることになったのですが、彼に告白されたときこの修学旅行のエピソードを持ち出して「お前にとっては失敗、ピンチだったかもしれないけど、俺にとっては絶好のチャンスだったんだよ」と。彼はそのころ、私のことが気になっていたらしいのですが、みんながいる手前なかなか二人きりになる機会を作れないでいたそうです。あのときもし自分ひとりでトイレに向かったら、私の性格上、絶対に追いかけてくるという自信があったとか。私は必死だったのに…とやや複雑な想いですが、初めての二人きりの時間を過ごせたあの事件が、今となっては忘れられない思い出です。

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